2022年【生産緑地】どうしますか?~数字で見る生産緑地~

1992年の生産緑地法施行から30年となる2022年、多くの生産緑地が営農義務と税制の優遇を終了します。

この「生産緑地」とはどのような土地なのか、様々な数字から探ってみましょう。

 

全国の生産緑地

農地の画像です

全国には、222都市、59633地区、12496.8ヘクタールの生産緑地があります。

(参照:国土交通省 平成31年都市計画現況調査

 

地方別では

関東  7,184.6ヘクタール

北陸  0.1ヘクタール

中部 1,455.5ヘクタール

近畿 3,852.2ヘクタール

九州  4.4ヘクタール

 

都道府県で見ると、

東京都が 3,063.5ヘクタール で最も多く、

大阪府  1,926.1ヘクタール

神奈川県 1,293.1ヘクタール

愛知県  1,048.9ヘクタール

などと続きます。

 

東京都では、練馬区に651地区、178.7ヘクタール

世田谷区で506地区、86.1ヘクタールなど、

23区内にも生産緑地が多くあることが分かります。

 

固定資産税が100倍以上に?

税金のイメージです

総務省が発表している「令和元年度(平成31年度) 固定資産の価格等の概要調書」で、

土地における総括表を見ると、

課税標準額の全国平均は以下の通りでした。

一般田        101円/㎡

介在田・市街化区域田 14,813円/㎡

一般畑        31円/㎡

介在畑・市街化区域畑 21,663円/㎡

(参照:令和元年度(平成31年度) 固定資産の価格等の概要調書

 

一般田や一般畑とは、いわゆる普通の農地です。

固定資産税は農地として評価され、農地として課税されます。

 

一方、市街化区域内の田や畑は、宅地並みに評価され、宅地並みに課税されます。

だからこれほど課税標準額に違いがあるんですね。

※介在田・畑とは農地以外に転用するための許可または届出を行った田や畑

※特定市以外の市街化区域内農地は宅地評価で「農地に準じた課税」となりますが宅地並みまで上昇します。

 

国土交通省 発表資料より)

 

生産緑地の固定資産税は?

生産緑地は市街化区域内に存在します。

ということは本来なら宅地並みに評価され、宅地並みに課税されるはずですよね。

ところが、生産緑地は農地評価の農地課税に減免されているため、固定資産税はぐっと低く抑えられているのです。

この固定資産税の減免は30年間農業を続けることが条件。

言い換えれば、30年の縛りを終えた後は固定資産税が100倍以上に跳ね上がるという訳です。

 

上記の数字は全国の平均値ですから、東京などの大都市では額はもっと大きくなるでしょう。

 

2022年に生産緑地の約8割が営農義務を解除|その後は?

生産緑地の看板の画像です

全国にある12496.8ヘクタールの生産緑地のうち、約8割が2022年に30年の営農義務を終えます。

すると農地が宅地として大量に売り出され、不動産価格が暴落するのではないか・・・。

これがいわゆる「生産緑地2022年問題」です。

 

生産緑地の指定から30年経過した後は?

全国農業会議所が作成している 平成27年度 都市と緑・農が共生するまちづくりに関する調査 報告書 において、

『生産緑地の指定から30年経過した場合の買取り申出の意向』というアンケートが実施されています。

生産緑地の所有者に「生産緑地の指定から30年経過した場合に、買取り申出を早い時期に出したいか、当面買取り申出は考えていないか」と聞いたところ、

 

「早い時期に一部又は全部の買取申出をしたい」・・・16.0%

「当面買取申出は考えていない」・・・44.4%

「わからない」・・・39.6%

という結果に。

 

このアンケートが行われたのが平成27年(2015年)です。

買取申請の期限を10年間延長できる「特定生産緑地」の制度ができた2017年より前でも、

4割以上の人が「当面買取申出は考えていない」と回答しているんですね。

(参照:平成27年度 都市と緑・農が共生するまちづくりに関する調査 報告書

 

まとめ

「生産緑地」について様々な数字を基に探ってみました。

30年の営農義務が終了した後、生産緑地をどうしますか?

・このまま農業を続ける(農家レストランや直売所などを置い収益を確保することも)

・農地として個人や団体へ貸し出す

・買取申請をする(市町村の買取が無い場合は売却)

・アパートや駐車場、太陽光発電などで活用する

など色々な選択肢がありますが、そろそろ具体的に考える時期ではないでしょうか?

税金のことなど分かりにくい部分は専門家に相談しましょう。

 

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